遺伝子治療は?
がんと遺伝子の変異

私たちの身体は、約60兆個の細胞からできおり、その細胞は遺伝子によって細胞分裂の回数や周期がプログラミングされています。細胞はあらかじめ決められた回数の細胞分裂を行うと老化し、やがて自然死します。それにより、私たちの身体は正常に機能しているのです。その遺伝子が変異して無限に増殖するようになったものが「がん細胞」です。

がん遺伝子とがん抑制遺伝子

細胞の増殖と分裂はいくつものチェックと防御機能によって秩序を保っています。しかし遺伝子の変異によって機能が正しく果たされなくなると、細胞が無限に増殖することを許してしまいます。
 細胞の増殖をコントロールするのが「がん遺伝子」、細胞の増殖を止めたりがん化した細胞を死滅させたりする「がん抑制遺伝子」です。がん遺伝子がアクセル役、がん抑制遺伝子がブレーキ役となり、細胞をコントロールしています。

 遺伝子の変異を車に例えると、「がん遺伝子」が傷つくと細胞を増殖するアクセルが踏みっぱなしの状態になり、「がん抑制遺伝子」が傷つくと細胞の増殖に対するブレーキがきかなくなった状態になります。どちらか片方に変異が生じ、このバランスが崩れると細胞はがん化して暴走してしまいます。

  
 がんの原因の遺伝子の変異を治療する!
バイオテクノロジーの発展により、がんと遺伝子の関係が明らかになる中で、それをがんの治療に生かしてく「遺伝子治療」が世界各国で始まっています。  

がんのメカニズムそのものに根ざした治療なので、抗がん剤による効果がみられない、手術によって摘出しにくいなどで従来の手法で治療できなかった患者様にとっても新しい選択肢となります。  

また、抗がん剤や放射線などの従来の治療を継続しながら遺伝子治療をこれに加えて行うことで相互により高い効果を得ることができます。
抗がん剤や放射線の副作用を低く抑えながら治療効果を得ることも可能です。
体の状態が悪くこれまでこれらの治療ができなかった患者様にも新たな可能性を拓きます。

他の治療にみられない「がん遺伝子治療」の優れたところは
  1. 正常細胞は、通常がん抑制遺伝子を持っているので、がん抑制遺伝子を利用したがん遺伝子治療は、正常細胞に悪影響を与えず、副作用も少ないことです。
  2. がん遺伝子治療は、主に点滴で治療タンパクを投与するので全身の細胞レベルで効果があり、がん細胞が存在する初回のがん治療や再発がん治療ばかりでなく、がんの再発予防やがん発生予防にも有効であり、治療適応範囲が広いことがいえます。
  3. 抗がん剤や放射線治療の作用機序に類似しているので、その効果を増強させる作用もあり、抗がん剤や放射線治療との併用もかなり有効の報告があります。  抗がん剤は、細胞膜のレセプターを介して作用するので耐性になることがありますが、がん遺伝子治療は直接細胞内に作用するので耐性になることがなく、ストレスに強いがん幹細胞にも有効的に働きます。
  4. どの部位のがんでも、発生には遺伝子が関与しているので、がん遺伝子治療はがんの種類にも関係なく有効です。 治療は主として点滴で行う事が多く、場所を選ばず楽に治療ができます。


いろいろながん治療との併用ができる
遺伝子治療は、核の中のがん抑制遺伝子などに作用して、がん細胞の特性である無限増殖をとめる治療です。
☆ 放射線治療や抗がん剤との併用が可能です
☆ 抗がん剤や放射線治療との併用ができ、相乗効果が期待できます
☆ ストレスに強い「がん幹細胞」にも効果があります
☆ 発現や治療効果が一過性でなく持続します

この作用を起こさせる為のポイントは国内大学研究グループが開発しました
1.どのようにしてCDC6を消去(ノックダウン)させるのか?
2.消去(ノックダウン)させる物質どのようにがん細胞内に送りこむのか?
3.がん細胞にだけ反応させるにはどうするのか?
がん遺伝子治療は 副作用がなく体に優しい
現在、がんの治療法として確立されているのは、外科手術、放射線療法、化学療法でがんの標準治療とも呼ばれています。
この標準治療は、がん細胞のみではなく正常な細胞も傷つけてしまうために患者さまに苦痛が伴います。
そのため、一般的に「がん治療=つらい」というイメージをもたれている人がほとんどだと思います。  

一方、遺伝子治療は治療による苦痛を伴いません。
なぜならば、正常な細胞を傷つけることなく、がん化した細胞のみを治療するので体への負担が少ないからです。
治療による副作用はほとんどなく治療中でも通常の生活を送っていただけます。

がん遺伝子治療は
異常な遺伝子を正常化したり がん細胞のみを攻撃し
自ら死滅(アポトーシス)するよう
働きかける治療法です